story about us
鳥取県琴浦町、日本海と大山の自然に恵まれたこの地で「とっとり琴浦グランサーモン」の物語が始まった。そのきっかけは、福島県で代々養殖業を営んでいた林養魚場さんが、震災後の販売不振に直面し、新たな拠点を模索していたことに遡る。
琴浦町の澄んだ伏流水と、地域全体での温かいサポートに惹かれ、2017年、養殖のスタートを決断。循環式陸上養殖という国内では他にない新しい技術を活用しながら、無投薬で育てる安全なサーモンづくりが始まった。
「自然の恵みを最大限に活かしたい」という林さんの想いが琴浦の風土と重なり、地元住民とともに新たな一歩を踏み出した。この挑戦は、単なる養殖事業ではなく、琴浦町そのものの未来をつくるプロジェクトとして、地域と一体となって育まれている。
tottori kotoura
gran salmon trail
2017年10月、鳥取県琴浦町の赤碕新港エリアで、「とっとり琴浦グランサーモン」の養殖がスタートした。国内最先端の「循環濾過養殖システム」を採用し、大山の地下水を使ったこの養殖事業は、2018年から出荷を開始。臭みのない味わいと、幅広い料理に合うその特長で、地元だけでなく全国的にも注目を集める存在へと成長している。
地方創生事業の一環として、このご当地サーモンは琴浦町全体の活性化を目指す取り組みの中心に位置づけられている。地元の飲食店や町の関係者と協力し、ブランド化を進めてきた。その一環として開催された試食会では、体長60センチの大ぶりなサーモンを使用した地元飲食店の多彩な創作料理11品が披露され、報道関係者の注目を集めた。
琴浦町の清らかな水と人々の努力が育む「とっとり琴浦グランサーモン」。その過去3年間の軌跡は、地域と自然が織りなす調和の物語であり、地方創生の可能性を示す一つの成功例でもある。
季節を問わず美味しいサーモンを食べることができる町
琴浦グランサーモン事業参加店舗代表 牧田さんと株式会社鳥取林養魚場 林さん
3年前、琴浦町商工会との連携で始まった「琴浦グランサーモンフェスタ」は、「とっとり琴浦グランサーモン」の知名度向上と地域活性化を目指す取り組みだった。商工会員の飲食店が中心となり、グランサーモンを使った新商品を次々と開発。刺身や寿司だけでなく、創意工夫を凝らした多彩な料理が多くの人々を魅了してきた。
この取り組みも今年で一区切りを迎えるが、成果は大きい。現在、通年でグランサーモンを提供する飲食店は10店舗にまで増え、「琴浦町でグランサーモンを食べると一番美味しい」態勢が整った。
今後は、この琴浦ブランドを基盤に、国内外への市場展開や観光資源としての発展を目指す。琴浦町とともに歩むグランサーモンの挑戦はこれからも続いていく。
what's a gran salmon?
とっとり琴浦グランサーモンは、養殖技術と自然の調和が生み出した純国産サーモンだ。その特長は、大山の伏流水を利用した「循環式陸上養殖」にある。このシステムは、少量の水を濾過して再利用することで、環境負荷を最小限に抑えつつ、安定した生産を可能にする。清らかな井戸水は病気のリスクを低減し、無投薬での育成を実現している。
ブランド名「グランサーモン」は、地下水を意味する"Groundwater"と、豪華さを表す"Grand"から名付けられた。その名前の通り、程良い脂の乗り具合とさっぱりとした上品な味わいが特徴で、刺身、寿司、焼き魚など、どんな料理にも合う。
さらに、高度に管理された施設での養殖により、自然災害の影響を受けず一年を通じて新鮮なサーモンを提供可能。冷凍ではなく鮮度そのままで届けられる琴浦グランサーモンは、地元飲食店や高級レストランで多くの人々を魅了している。琴浦町が誇るこのサーモンは、自然、技術、人々の情熱が詰まった一品だ。
特 徴 「安心・安全」
とっとり琴浦グランサーモンは、大山の伏流水を使うことでアニサキスなどの寄生虫の心配がなく、さらに卵から成魚まで無投薬で育成されている。また、循環濾過養殖システムを採用し、水を再利用することで環境負荷を軽減し、持続可能な生産を実現している。
特 徴 「程良い脂の味わい」
海外産に比べて脂っぽさを抑え、程良い脂がのった身質が特徴。刺身、寿司、焼き魚、煮魚、サラダなど、さまざまな料理に最適で、創意に富む琴浦町内の飲食店でその味わいを存分に楽しむことができる。
特 徴 「一年を通じて新鮮出荷」
循環濾過養殖施設での飼育により、自然災害の影響を受けず、温度管理を徹底することで一年中安定した養殖が可能。一尾ずつ丁寧に水揚げされ活〆されるため、刺身や寿司などの生食にも最適。
sustainability
「とっとり琴浦グランサーモン」は、環境に配慮した養殖方法を徹底し、持続可能な水産業のモデルケースを目指している。
その具体的な取り組みをいくつか紹介する。
循環濾過養殖システム(RAS)の採用
琴浦グランサーモンの養殖は、陸上で行われる「循環濾過養殖システム(RAS)」を採用している。これは、使用した水を濾過し再利用することで、水の使用量を大幅に削減することと、安定生産を実現する仕組だ。通常行われている海でのサーモン洋食に比べ、周辺環境への負荷が少なく、また、出荷までの魚の生存率も高く、生命を大切にする養殖である。
水資源の保全
循環濾過洋食システムにより、限りある琴浦町の水資源の保全と、規模感のある養殖生産の実現を両立する、国内でも最新のモデルケースである。
無投薬養殖の実現
琴浦グランサーモンは、卵から成魚まで無投薬で育てられている。これは、水質管理と衛生管理が徹底されていることと、大山の伏流水を利用しているため、元々の水質が極めて性状であることから可能となっている。薬品を使わない事で、食の安全に貢献している。
省エネルギーへの取組み
循環濾過養殖システムは、比較的エネルギーの消費が大きい養殖であるが、国内初の省エネ型エアリフト循環方式の採用や、高効率型ポンプの採用など、試験研究としての側面をもった施設でもある。
地域環境との調和
琴浦町の自然との共存を目指し、周辺地域の生態系や景観を損なわない設計がなされている。また、地域住民との協力や、地域の子供たちの食育活動への参加、社会科見学などの受け入れなどを通じて、地域への調和を進めている。